IT導入補助金2023第1次締切分結果の概要
2023年5月31日にIT導入補助金第1次締切分の結果が公表されました。採択された事業者は2023年11月30日までに事業を完了し、実績報告を行う必要がありますので、採択後も忘れずに手続きを行いましょう。
不採択となった方も次回以降の公募に申請することも可能ですので、不採択となった要因を分析し、次回申請に向けて準備を進めると良いでしょう。交付決定前に行った契約等は補助対象になりませんので、IT導入補助金を活用する場合には必ず交付決定後に事業に着手する必要があることを念頭において事業実施スケジュール等を検討しましょう。
類型 | 申請数 | 交付決定数 | 採択率 |
---|---|---|---|
A類型 | 1,871 | 1,363 | 72.84% |
B類型 | 44 | 28 | 63.63% |
セキュリティ対策推進枠 | 25 | 20 | 80.00% |
デジタル化基盤導入枠 | 2,744 | 1,735 | 63.22% |
合計 | 4,684 | 3,146 | 67.16% |
これまでに比較して通常枠A類型の採択率が大幅に増加し、デジタル化基盤導入枠の採択率が大幅に減少しました。デジ枠が通常枠を下回ったのは初めてのケースでしたので弊所なりに要因を分析してみました。
まずはIT導入補助金2022から要件等の変更点を見ていきましょう。
2022年からの変更点
- 加点項目の追加(2次公募より加点対象) 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定:えるぼし認定 次世代育成支援対策推進法に基づく認定:くるみん認定
- 「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行っていること
申請要件等の主な変更点は上記2項目であり、大幅な変更点はありません。これらは通常枠・特別枠共通の項目であるため、本変更点を要因に採択率が変動したものではないと考えます。ただし、「みらデジ経営チェック」を実施せず不採択になってしまった方も相当数いるものと想定されます。
弊所としては、デジ枠はIT導入補助金2022で通常枠の3倍近い交付決定がなされており、インボイス対応等への投資がある程度完了した事業者が多いことが要因のひとつとして挙げられると考えます。
また、過去にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者に対して減点措置が取られることも影響している可能性があります。
減点措置
1)IT導入補助金2020及びIT導入補助金2021において、交付決定を受けた事業者
2)IT導入補助金2022において、通常枠(A・B 類型)、デジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた事業者
3)IT導入補助金2023において、通常枠(A・B 類型)で申請を行っている若しくは交付決定を受けた事業者
※なお、1)~3)において選択されたITツールと同一の機能(会計・受発注・決済・EC)を有するITツールを導入する場合は更なる減点を行う。
IT導入補助金2022の採択率
申請枠 | 申請数 | 交付決定数 | 採択率 |
---|---|---|---|
A類型 | 23,426 | 13,621 | 59.5% |
B類型 | 669 | 338 | 53.2% |
セキュリティ対策推進枠 | 297 | 287 | 96.6% |
デジタル化基盤導入枠 | 45,836 | 37,639 | 82.6% |
合計 | 4,684 | 3,146 | 67.16% |
今後狙うべき枠は?
IT導入補助金2023においても、補助率が高く、会計ソフト等と合わせてPC等のハードウェア導入にも活用できるデジタル化基盤導入枠への申請をお勧めいたします。
採択率は減少しましたが、他の補助金と比較すればまだ高い水準であり、PCやタブレットも補助対象になるという点で使い勝手が良い制度であるためです。
通常補助金の申請には事業計画書を作成し、申請するものが一般的ですが、IT導入補助金では事業計画書の作成は不要であり、申請が他制度に比べると容易です。
締切から結果の公表までの期間が1ヶ月程度と短期間であり、公募回数も2022年度は19回実施されました。申請に必要な書類も履歴事項全部証明書と納税証明書(個人は本人確認書類・納税証明書・確定申告書)のみであるため初めて補助金を申請する方にも優しい制度設計となっています。
なお、確定申告書は下記いずれかにより税務署が受領したことが確認できることが必要です。
①収受日付印が押印されていること
②受付番号と受付日時が印字されていること
③「受信通知(メール詳細)」が添付できること
1~3の方法で受領が確認できない場合は、確定申告書第一表の控えと同一年度の納税証明書(その2 所得金額用)を提出することで審査に必要な書類を充足することができるので、納税証明書はその2の取得をお勧めします。
IT導入補助金2023次回公募スケジュール
次回以降スケジュールは下記の通りです。本補助金はIT導入支援事業者と共同申請が必要であり、申請者→支援事業者→申請者の順に手続きが必要となるため、申請を検討される事業者は早めに準備を行いましょう。
類型 | 締切日 | 交付決定日 | 実績報告期限 |
---|---|---|---|
通常枠 | 2023年7月10日 | 2023年8月22日 | 2023年11月30日 |
セキュリティ対策推進枠 | 2023年7月10日 | 2023年8月22日 | 2023年11月30日 |
デジタル化基盤導入枠(4次) | 2023年6月20日 | 2023年8月1日 | 2023年11月30日 |
デジタル化基盤導入枠(5次) | 2023年7月10日 | 2023年8月22日 | 2023年11月30日 |
商流一括インボイス対応類型 | 2023年7月10日 | 2023年8月22日 | 2023年11月30日 |
みらデジ経営チェックをやってみた
2023より申請要件となったみらデジ経営チェックを弊所でも実際にやってみました。自社の基本事項の入力と経営上の課題、ITツール/サービスの利活用状況、経営やデジタル化に対する取り組み状況や意識についてに関する簡単な質問に回答するだけで10分程度で完了となります。
自社の経営上の課題や取り組むべき課題の占有率などが可視化することができたり、自社におすすめの制度等の情報を受け取ることができるなど、補助金申請要件を得る以外にも有益な制度であると感じました。
今年度から新たに設定された要件であり、公募要領を読み込まないと要件を満足せず不採択になるリスクがあります。セキュリティアクションについては、自己宣言IDを入力しなければ申請を進めることができないようになっていますが、「みらデジ経営チェック」は、申請前の確認ページにて実施したかチェックを入れるだけで申請ができてしまうため、ここを漏らしたばかりに不採択になってしまうということも想定されます。
行政書士に申請サポートを依頼するメリット
事業再構築補助金の申請は、事業計画策定や必要書類の準備、採択後も交付申請や実績報告等の多くの手続きがあり、非常に煩雑です。補助金申請に関する豊富なノウハウを持ち、手続きに精通している専門家にサポートを依頼することで自社の負担を大幅に軽減することが可能になります。サポートを依頼するメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 申請書類の作成や提出手続きに関するアドバイスを受けられる
- 申請書類の不備や誤りを防ぐことができる
- 事務負担が大幅に軽減できる
行政書士に依頼することで、補助金の申請がスムーズに進められたり、不備や誤りを防ぎ、採択確率を高められるようなアドバイスを受けることができます。 当事務所は補助金申請サポートを専門としており、申請に必要な情報を提供させていただき書類作成や手続きをトータルでサポートいたしますので、申請にかかる手間を削減することができます。補助金申請が初めてでどういう手続きがあるのかわからない方や、申請書の書き方がわからない方に対して手厚くサポートをいたしますのでお気軽にお問い合わせください。