小規模事業者持続化補助金の必要書類に、事業支援計画書(様式4)という書類があります。この書類は自社で作成するものではなく、商工会/商工会議所にて発行してもらう書類となり、補助金申請締切の1週間前が様式4の発行依頼期日となります。様式4の準備を失念して申請ができなかった、というような事態を避けるために申請の流れを理解して早めに準備に取りかかりましょう。第15回公募の受付締切は3月14日(木)ですが、様式4の発行受付締切は原則3月7日(木)となります。第15回より電子申請システムによる入力画面が変更になりましたので、締切には十分注意して余裕をもって手続きを行いましょう。
建設業の方にも非常に活用しやすい小規模事業者持続化補助金ですが、申請に苦慮されている方もいらっしゃるかと思います。この記事では、補助金の活用事例なども交えながら、様式4発行までの流れや当日の所要時間、注意点などについて補助金申請サポート専門の行政書士が解説します。
CHECK
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目次
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者等が、今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するために取り組む、販路開拓等に要する経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした補助金です。持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援する制度で最大250万円が補助されます。
持続化補助金利用の流れ・スケジュール
小規模事業者持続化補助金の申請から補助事業終了・精算払いまでの全体の流れは以下のとおりです。年間4回程度公募されており、約3ヶ月の公募期間内に申請を行い、締切後に一斉に審査され、約2ヶ月後に採択が発表されます。
公募回 | 公募締切 | 採択 | 事業実施期間 | 実績報告 |
---|---|---|---|---|
第13回 | 2023年9月7日 | 2023年11月〜12月頃? | 2024年7月31日 | 2024年8月10日 |
第14回 | 2023年12月12日 | 2024年2月〜3月頃 | 2024年8月31日 | 2024年9月10日 |
第15回 | 2024年3月14日 | 2024年6月頃 | 2024年10月31日 | 2024年11月10日 |
事業実施期間約4ヶ月とが短くなっていますので、採択後すぐに事業を実施できるよう見積もりを取得しておくなど事前に準備できることはやっておきましょう。契約は交付決定後ですので採択の勢いのまま契約しないよう注意が必要です。事業実施期間内に納品・支払等全ての事業を完了させ、2024年11月10日までに支払を行なった証憑類を整備して実績報告を行います。事業実施期間は数ヶ月ありますが、手続きが多く、準備する書類も多岐に渡るため、余裕を持ったスケジュールにて事業を実施する必要があります。公募開始から入金までは1年程度要するケースもあります。支払いは自社で行なっていく必要があるため一時的に資金繰りは悪化することを十分認識し、入念な資金計画のもと補助事業を適切に実施しましょう。
様式4発行の流れ
当方は東京商工会議所豊島支部にて発行いただきましたのでその際の対応を記載しますが、支部等により若干差異がある可能性があります。
事業支援計画書(様式4)はお近くの商工会/商工会議所にて発行していただく書類となります。発行のためには補助金申請締切の1週間前までに、持続化補助金事業に係る申請書(様式1)、経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)、補助事業計画書②(様式3)、様式4発行依頼書を作成し、お近くの商工会議所に電話予約をして発行依頼を行う流れとなります。
商工会議所に出向き、担当者に計画書の内容を確認していただきます。データやグラフ等を引用する場合には必ず出典を明記することや、この部分の記述がやや第三者に伝わりにくく感じるので、このように修正した方が良い等のアドバイスや、様式1・2に形式的な不備がないか、経費区分に誤りがないか等の確認をしていただきました。
当方の場合、当日の面談は15分程度で終了しましたが、今後事業者様のサポートを行う上で確認しておきたい点があったのでいくつか質問させていただきましたが、非常に丁寧にご回答をいただけました。
計画書の確認を受けて様式4の発行という流れになりますが、当日発行はできず、翌日以降に受取りに再度出向く必要がありますので、スケジュールには十分注意をしましょう。なお、相談は申請事業者の方(代表者・役員・従業員)のみに限られ、申請事業者の代理人の方からの相談は受け付けておりませんので注意が必要です。
豊島支部では、中小企業診断士による無料の相談窓口が開催されていますので、専門家に計画書のアドバイスを受けたい方は申し込みをお勧めいたします。
申請方法
郵送または電子申請により申請できます。電子申請を行うことにより加点を得られますので電子申請を活用しましょう。その際gBizIDが必要になりますので早めに準備しておきましょう。
申請手続きの基本的な流れ
- 「応募時提出資料・様式集」を確認し、必要書類を作成・準備します。
- 「経営計画書」(様式2)と「補助事業計画書」(様式3)の写し、申請する枠や加点に関する書類を商工会議所窓口に提出し、「事業支援計画書」(様式4)の作成・交付を受けます。
※「事業支援計画書(様式4)」発行の受付締切は、原則公募締切の1週間前となります。 - 必要な提出物を全て揃え、電子申請又は郵送により提出。
※電子申請の場合は23:59まで受付。郵送の場合は当日消印有効。
<申請手続きにおける留意点>
事業者自身が、経営計画・補助事業計画等の作成時や採択後の補助事業実施の際に、商工会・商工会議所の支援を直接受けながら取り組む事業です。このため、社外の代理人のみで、地域の商工会・商工会議所へ相談や「事業支援計画書(様式4)」の発行依頼等を行うことはできません。
必要書類
書類名 | 様式 | 法人 | 個人 |
---|---|---|---|
小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書 (電子申請の場合は不要) | 様式1 | ○ | ○ |
経営計画書兼事業計画書 | 様式2 | ○ | ○ |
補助事業計画書 | 様式3 | ○ | ○ |
事業支援計画書 | 様式4 | ○ | ○ |
補助金交付申請書 (郵送による申請の場合は必要) | 様式5 | ○ | ○ |
宣誓・同意書 | 様式6 | ○ | ○ |
直近の貸借対照表・損益計算書 | ー | ○ | ー |
直近の確定申告書又は開業届 | ー | ー | ○ |
注意点
- 補助対象者 業種と従業員数に定めがあります。医師や個人農業者、医療法人・学校法人等は対象外です。
業種 | 従業員数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
- 補助対象経費 1.機械装置等費、2.広報費、3.ウェブサイト関連費、4.展示会等出展費、5.旅費、6.開発費、7.資料購入費、8.雑役務費、9.借料、10.設備処分費、11.委託・外注費の11区分に該当する経費が補助対象となります。 補助事業に必要なホームページ作成等も対象になりますが、3.ウェブサイト関連費は単独では申請できず、かつ全体の25%以内である必要があります。
- 申請方法 商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の発行が必要です。発行締切は原則、補助金申請締切日の1週間前ですが、直前期は混雑する場合があり締切に間に合わないことを避けるためにも早めに発行を依頼するのが良いでしょう。 一度採択された以降も申請は可能ですが、3年以内に実施した内容と別の事業である点の疎明が必要であり、審査においては減点措置がとられることになります。
活用事例
小規模事業者持続化補助金の活用事例①
業種:土木工事業
投資内容:WEBサイト構築・インターネット広告
取組内容:公共工事への偏りという経営課題解消の為に、小規模工事民間需要者をターゲットに選定。施工実績や強みを掲載したWEBサイト構築、インターネット広告、Facebookページ製作、社内運営やノウハウ蓄積の為に専門家指導による若手人材育成を実施。
補助事業の効果:事業の効果施工実績や強みの「見える化」をお客様から評価され、民間工事受注件数が前年対比125%に増加。後継者や若手技術者への情報化社内教育が強化されることで、情報化施工新事業戦略の立案に繋がり、施工品質や生産性向上に繋がった。
小規模事業者持続化補助金の活用事例②
業種:屋外広告設置業
投資内容:個人向けHPを作成、最新工法導入による効率化
取組内容:これまで受注できていなかった個人のビルオーナーへ直接工事提案するため、個人向けHP作成及び業務効率化の為にポータブル切断機を購入。機器を設置するためにトラックの荷台を改良し、業界に先駆けて最新工法を導入することで作業効率の向上に取り組む。
事業の効果:HP改善により企業イメージが向上、顧客からの信頼度アップに繋がり、HPからの集客が増加した。最新工法である荷台を改良したポータブル切断機の活用により、従来4名で行っていた作業が3名で出来るようになり、業務効率が向上。その結果、従業員1名当たりの売上が前年比約227%UP。ビルオーナーからの受注が拡大し、外壁工事などの周辺工事受注にも繋がった。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の申請の流れや必要書類、活用事例等について解説をいたしました。 小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上や持続的発展を図ることを目的とした補助金です。上記のような事例を参考に、自社の経営計画に基づいた取り組みを行うことで、より良い経営状況を実現することができます。是非、活用を検討してみてください。
どういう取り組みが補助の対象になるかわからない、申請方法や計画書の書き方に不安があるという方は、下記にて活用事例や計画書の書き方などが取り上げられていますので参考にしてみてください。
行政書士に申請サポートを依頼するメリット
補助金の申請は、事業計画策定や必要書類の準備、採択後も交付申請や実績報告等の多くの手続きがあり、非常に煩雑です。補助金申請に関する豊富なノウハウを持ち、手続きに精通している専門家にサポートを依頼することで自社の負担を大幅に軽減することが可能になります。サポートを依頼するメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 申請書類の作成や提出手続きに関するアドバイスを受けられる
- 申請書類の不備や誤りを防ぐことができる
- 事務負担が大幅に軽減できる
行政書士に依頼することで、補助金の申請がスムーズに進められたり、不備や誤りを防ぎ、採択確率を高められるようなアドバイスを受けることができます。 当事務所は補助金申請サポートを専門としており、申請に必要な情報を提供させていただき書類作成や手続きをトータルでサポートいたしますので、申請にかかる手間を削減することができます。補助金申請が初めてでどういう手続きがあるのかわからない方や、申請書の書き方がわからない方に対して手厚くサポートをいたしますのでお気軽にお問い合わせください。